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杉岡製材所さんの「斎」

杉岡製材所さんの「斎」の杉皮葺の屋根を作る。
上村さんと独立したことで見えてきたこと。
自分たちのできることを、したいことを、思う存分できるということ。

安藤先生の設計で、杉岡さんの想う「方丈庵」の究極の世界、宇宙を、今この時に再現することが、道楽である前に、粋であるということ。

研ぎ澄まされた技の織り成す空間となりうるように、変幻自在に、その場の思いつきがすぐさま形になっていく過程を共有できる喜びは格別であり、そこに居られることによって、その姿勢を自分たちが学べる幸いに満たされていた。

製材所の方々が丁寧に剝いだ杉皮を、五十八センチ、五十五センチ、五十センチ、四十センチ、それ以下の長さで、細かく鉈で切り、それを重ねつつ、桟とそれを覆う半割りの竹で抑えて銅線で固定しシュロ縄で男結びをしていくことを、片面において8回繰り返した。

そうして、棟作りにおいて、大工の池上さんとの共同作業によって、今まで手がけた棟で最高のものができたと思われた。

通りを何度も確認しながら、杉皮の上に黒く焼いた板を敷き、その上に棟竹が収まった時を、皆の想いと技が一つの美しい形になった瞬間を、共有できた喜びは何物にも変えられないと思われた。

これほど、茅葺、杉皮葺をして、嬉しい時はなかったのだ。

皆が自分の持っているものをすべて注ぎ込むことで満たされた瞬間。

皆が満たされた瞬間であった。

雨の流れが、桟と割竹が思いの外遮っていたので、暗渠のように、穴をところどころ開けて、その流れをある程度確保できるようになったことも、勉強にもなった。

何年後かに、屋根の補修をする場合、桟にあらかじめ水の流れの確保と杉皮の抑えのバランスをとる為に、どのような形にするか考えることもまた勉強になり、屋根にとっての最善を探っていきたい。


斎の正面に備え付けられた階段も、木の凄みを一段一段積み上げていた。

あとは、池上さんたちの大工衆の技の積み上げられた建築の粋を見られる完成の日を待ちわびている。




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# by akikomichi | 2020-09-21 00:23 | 詩小説 | Comments(0)

油抜き女天国

竹の油抜きをした。

囲炉裏の火を絶やさずに。

自分の背の高さの倍ほどの竹を炙りながら、少しづつずらしながら、布で油と煤を拭き取りながら、焦げないように、強くなるように。

色鮮やかな若々しい青い竹から、脂分と水分が抜けるごとに淡い薄みどり色に乾きながら表皮が密になっていく。

虫がみずみずしく柔らかい若竹を好むのならば、この油抜きをした竹は、我らの目にとてつもなく好ましくなっていく。

東屋のような茶室の六角形の杉皮葺の屋根の上に長い間、収まるように、手間暇をかけて。

最近は竹や棟木などに注入剤を工場で施したものを、屋根の上の雨風、天道さんの熱い日差しにも耐えられるように使うことが多いのだが。

今回、我々はあえて、自宅にある囲炉裏で手間暇をかけて、一つ一つに宿る魂のようなものを磨きあげるように、赤子の腕や足をなで摩るように、磨き上げていった。

人の手を必要とする一つの試み。

どう変化していくのかを見守りつつ、昔の人がやっていたであろう手間暇を惜しまずやっていく覚悟のようなものをも、生活の中にある囲炉裏で毎日、我が身と我が作り上げるあらゆるものに、注ぎ込んでいけるように。

魂のようなものは手の先から育まれるのだというような、美しい色艶をいつまでも触っていたいような、なめらかなつやつやとした竹肌を愛でる。

時間と火がつくりだす美しいてかりは我々の希望の光。

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# by akikomichi | 2020-09-19 08:40 | 詩小説 | Comments(0)

トリエステの坂道

「トリエステの坂道」を読み返している。

竹屋さんの奥さんとお話ししているうちに、エッセイがお好きとお聞きし、なんとはなく、須賀敦子の面影をお話しの節々に感じていた私は、もしかして須賀敦子がお好きですかとお聞きしたら、最後まで手元に取っておいたのが彼女の読みものだと言いながら、単行本を貸してくださった。

久しぶりに読み返す須賀敦子の、孤独な、どこか読み物の中を漂うためだけに辿った坂道のような、自分の悲しみではないが、少し距離を置いた失ったものへの悲しみのようなものを、初めて読んだ時に、私は感じていたのだろうか。

あまり覚えていなかった。失われた旅の記憶のような。その場に立つとやっと思い出すような、思い出のような。

今の方がより、彼女の想いに近くなったような、異国の坂道を、サバの詩を思いながら、そこはかとなく、たださまよった年に、近くなっているような。

書かれたものの中にある、彼女の淡々とした眼差しに、正直、戸惑っている。

距離感。

親族でありながら、親族ではないような。
親しいようで、とてつもなく遠いような。

ただ言葉と歩く坂道。



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# by akikomichi | 2020-09-13 02:49 | 詩小説 | Comments(0)

宇宙平和

宇宙平和という名のグループを立ち上げた
茅葺を通して繋がった同志の集まり
自然のものとも調和していけるように
美しい時空間とともに生きていけるように
苦しみよりも生の喜びを分かち合えるように
生のものへの回帰
大いなる平和への回帰




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# by akikomichi | 2020-08-09 09:21 | 詩小説 | Comments(0)

杉皮の屋根と詩集

我が家の杉皮の屋根の杉皮を切っていた。
雨漏りがするので、早急に直したいのだが、雨が止まない。
まずは、内装から直している。
漆喰の壁を塗る前の下プラを塗ったり、泥壁を練って寝かせたりして。
上村さんのお兄さん、お母さん、左官の先輩が陣中見舞?に応援に来てくださったりしてずいぶん進み、美味しいご飯もいただいて、ぬか床までいただけたのはありがたかった。

これから、できる時を待っているのだ。

先日、杉岡製材所さんのところに用事があり伺った際、上野さんと安藤先生に初めてお会いした。
茅葺や杉皮葺を愛してやまない方々のお話をお聞きできて、心から、ありがたかった。
安藤先生が福岡の井尻に学生時代お住まいだったとお聞きし、自転車で行ける距離に住んでいましたという話で、盛り上がった。
また、上野さんとは女性の茅葺職人さんとの横のつながりを分かち合いたいというお話をさせていただき、勇気をいただいた。
さらに、杉岡さんがワークショップのようなものを考えておられるようで、有り余っているがそれを活かしきれていない杉の皮を使った屋根を全国に(全世界にも)広げていけたらいいという熱い思いを感じた。
そういう場にいれる幸せ、同じものを愛でることの嬉しさを分かち合える幸せを感じることができて、生きていて良かったと思えた。

今日、色々な杉皮葺の屋根を見て回った。

日田に移住するときに、年に1万円で貸してくれるという杉皮葺のお屋根があったのだが、そこの補修を家主さんができないということで、自分で屋根の補修ができるようになりたいと思い、茅葺職人を目指したきっかけであった家だが、すでに人が住まなくなって数十年となるであろうお宅の屋根は半分穴が空いていた。

そこには間に合わなかったのが残念でならないのだが。

今あるこの屋根を、直していくことで、この家への思いを遂げたいとも思った。


今日、やっとの思いで、詩集の原稿を石風社さんに送った。
絞り込むのに時間がかかったのだ。
今までの生きてきた時を言葉に込めて、この思いを遂げたいとも思った。

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# by akikomichi | 2020-07-20 21:21 | 詩小説 | Comments(0)