カテゴリ:詩小説( 252 )

 昨日のFOXニュースだったとおもうが、メトロに蛇が出たということを知る。
 どこの駅で出たのかは定かでなかったが、一昨日、メトロに乗った時は、自分の自転車の鍵ぐらいしか蛇状のものはなかった。
 こちらのメトロには混んでいない時間帯によっては、自転車がのせられるので、自転車とともに移動したのだ。
 自動車社会なので、自転車をそれほど見かけないのであるが、一定の需要はあるらしい。

 それにしても、あんまりに暑いので、蛇も地下に涼みに来たのか。
 
 へびもひあがるあつさかな。

 内陸部では、華氏100度超えと、ニュースで燃えるような真っ赤な地図に書いてあった。
一体、どれくらいの暑さなのか。
1°C(摂氏) の温度差は、1.8°F(華氏)の温度差に相当する。というなら、55度?!

 
 暑い。ここは、そこまで暑くないとしても。

 ちのそこのにじりいでたるあつさかな。

 一昨日も、昨日も、ほんとうに殺人的な暑さだった。
 一昨日は、資料を求めて、メリーランド大学内にあるというNARAを訪ねようとしていたが、あまりに巨大なカレッジ・パークのため、なかなか行き着かなかった。

 自転車を持って、スマートカードという、日本のニモカ?のようなものに、チャージしようとしたが、やり方がよく分からなかったので、聞こうとしたら、ちょうど日本の方が来られた。
 横須賀で旦那さんに合い、ここにきて10年は経つという。
 現地の方はNARAをだれも知らなかったので、道を尋ねようにも尋ねられない状態だったが、achieveの職員の方に詳しく聞くために、電話まで貸してくださった。
 見ず知らずのものにも、日本語が通じるというだけで、親切にしてくださる同胞のありがたさが身に染みることであった。

 昨日は道を訊ねるアメリカの人々に、遠いからメトロに乗りなよといわれながら、頑なにアメリカを自転車で知りたくて、ふらふらしながら、メリーランド大学まで行った。

 最初はアメリカの可愛らしい煉瓦の家や木々の涼しさやリスや小鳥の姿を見つけるのを楽しみながらのんびり走っていた。
 道を聞きながら、仕事に急ぐ人や、犬の散歩をしていたり、子どもと散歩したりしている人と話したりするのも楽しんでいたが、昼ごろになるとさすがに、暑さがこたえるようになってきた。

 はしってもはしってもみちなり。

 途中には、ホームセンタのようなものがあり、そこでおにいちゃんとおとうさんに自転車用ぐろーぶを手に入れる。
 彼らも毎日、何キロも走って学校や仕事に行く自転車乗りであるので、彼らの気持ちがすこしは身に染みた。

 日本も縦に長いし、島までは物理的にも自転車ではいけない程遠いが、アメリカは自転車乗りには過酷な遠さである。
 しかし、主要な道には、わりと自転車用の道があり、走りやすいのであった。
 段差があることで、ずいぶん自転車にも自転車乗りにも負担がかかるので、そこいらの整備も、日本には必要であると思われた。

 自転車乗りにとって、道の長さは気が遠くなるが、道の広さは救われる。

 帰る時間はすぐやってきて、もうメリーランド大学を出ないといけないこととなり、いそぎ、メトロバスに乗り、最寄りの駅に行くことにする。

 同じスマートカードが使えるのはいいが、自転車もバスの前に二台ほど載せられるよう折りたたみの荷台があり、それにのせてもらう。
 自力でやれるつもりだったが、なかなか重くて、焦っているところに、必ず誰か手を貸してくれる、アメリカの人々の優しさは自然である。
 見て見ぬふりをしない。
 ありがたいことである。

 メトロ駅に着くと、屈強そうなポリスがいて、もう乗れないよという。
 4時過ぎたら、学生や会社員で多くなる時間帯に差し掛かるので、だめなのらしい。
 あの距離を戻るのは、さすがに身体が悲鳴をあげていたので、メトロ駅からシルバースプリングに出ているバスがあるか聞くと、屈強そうなポリスがあるよといったので、どこにバス停があるのか聞くと、しらねえといいながら、目の前からきた女性のポリスに聞いてくれた。
 女性のポリスは、そこにあるよ。と指差しにやっとした。

 屈強そうなポリスと私のあしもとに、何番乗り場、どこそこ行き。というような看板があったのだった。
 灯台下暗し。
 屈強そうなポリスと笑って、それから、乗り場に行った。

 今日も移動祝笑日。


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by akikomichi | 2015-08-05 23:00 | 詩小説 | Comments(0)

暑いタコマ

夕べのニュースで、タコマで事件があったらしいことを知った。
今日、ニュースではなく、目の前で、事件が終わったのを見た。
ウォルマートで、水を買おうと入り、そのまま店内を見回りながら、生きるのに最低限いるものを選んでいだ。
水、水、水。それから、水。
あとは、どうにでもなるものである。
真夏のワシントン,D.C辺りは、とにかく、暑かった。
歩く人は、短パンに、タンクトップが多い。
余計なものを身につけないというような、夏の最低限度の暑さしのぎ。
我々も、似たようなものであるが、二足歩行をやめて、二輪走行になり、すこしだけ、宙に浮いた分だけ、重しを持つように、水を大量に飲んで、三倍の早さを手に入れた。疲れと水分補給は、より多くなったが、普段の三倍に動くというのは、そういうことであろう。
ウォルマートの外にでてみると。
目の前で、人がせるほーんで何かを撮っていた。
すでにクライマックスを迎えていた捕物帳がそこで終焉を迎えていたのだった。
青い制服のポリスの山の下で、蠢き、叫ぶ、男の野太い声が、はじめて「うぉーたー」と話せた人のようにしぼりだされ、ひりひりと道の上を、匍匐前進していた。


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by akikomichi | 2015-08-04 13:09 | 詩小説 | Comments(0)

ほーろーうり

ほーろーを売る人がいた。

買い付けは東欧州にいくという。

まぐかっぷにはさんかくのさかなにりんご。

さむいふゆでもあたたかいてのなかのほーろーをゆめみているようで。

売る人はかたみみだけみえるようにきったかみとおどおどした目がおよいでいた。

すっぴんで彼女なのか、彼なのかわからないやせた身体をしていた。

向かいの売店の女の子たちがじっと見ている。

誰も寄り付かなかった出店に立ち寄ったものと語る売る人を。

いがいな展開!

女の子たちが笑っている。

何がいがいなのだろう。

売れないほーろーの話をしていたからだろうか。


それからしばらくして、また別の場所で、ほーろー売りに出会った。

かみがのびて、ひげがはえていた。

男の人だったのか。

と、おもったとたん、すぐよこに、かみのながいおなじかおの女の人が立っていた。

ひげはなく、うっすらと化粧をして、にこやかに話をしていた。

いつのまにか、ダブルになって、あだむからぬきとったあばらぼねからつくられたふくせいのようないぶのように、あわせかがみのように、そこにいたのだった。






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by akikomichi | 2015-07-22 01:05 | 詩小説 | Comments(0)

個とネットワーク

目の前に老人がいた
ふれあいを大切にするためのネットワークを構築しようと呼びかけたものが
老人の話も聞こうともしないでおいかえすふれあいもへったくれもない現状にうんざりする

個としてもそのネットワークが機能しないならば
存在意義はないに等しい
やっているふりはもういい

じぶんのことはじぶんでやる
じぶんのことをじぶんでする
じぶんのことをじぶんでえらぶ

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by akikomichi | 2015-07-05 23:31 | 詩小説 | Comments(0)

『柿の木』

柿の木がどうしても見たくなった老人は、コの字の廊下のタコ部屋みたいな今風老人ホームを抜けだした。

いき止まりなのだ。コの字では。回廊ではない息苦しさ。ここまでの虚しさ。

老人は端っこの部屋から、昔住んでいた家を目指して抜けだした。

杖をついてコの字を辿る。ちょうどコの字の真ん中で、エレベーターにのる。

朝昼夜とご飯が出てくるが、朝と夜だけでいい。

昼はいらない。ただここから這い出ていきたいのだ。

住んでいた家への道すがら、図書館がある。

そこで、一息つこうと立ち寄った。

やっと、外の空気を吸い込んだのだ。

図書館には、係の人がいた。


だれでもいいので、話がしたかったと。

柿の木のこと。コの字のこと。

それから、死んだ女房のこと。
交通事故でなくなった、女房のこと。
あれから、ずっと、一人だということ。
コの字の老人ホームの向こうに女房を轢き殺した会社があって、毎日、いきづらかったと。


だから、コの字監獄を抜けだしてきましたと。


老人はいった。

係の人は、以前あったことがあるような、ないような顔をしていたが、それはどうでもいいことだった。

誰かと話がしたかった。ただそれだけであった。


私は死ぬ気でここまできたとです。
柿の木がみたかったとです。
昔は、道行く子どもに柿の実やまんじゅうばあげたりして、げんきねえとかいっとるだけでよかったとに。
今は、コの字の中で一人で、食べるときも誰ともしゃべらんで。
みんな歩行器ばつけたり、車いすに乗ったりしとる。
自分だけ、百歳に近いとに、歩くのだけはしゃんしゃんしとりますけん。


係の人は、なぜだか、泣きそうな顔になった。

百歳まであと少しの老人は、耳は聞こえにくいが、目が強く、言葉もしかりで、軍隊帰りの心意気で、背筋もぴしゃっとしておった。

年金はすぐなくなってしまいよるし、朝昼夜、飯ば出してもらえるのはありがたかことやけど、昼飯を今日みたいに食べんときでも、引かれるけん、できれば昼は最初から数にいれんでくれるとありがたいとやけどね。

老人は、二食食べれば事足りるという。でも、女性はようたべよんしゃあ。三食しっかり食べよんしゃあ。すごかですよ。

係の人は、泣きそうになりながら、少し笑った。

柿の木はまだあるんやろうか。気になっとうと。

家はつかいよらんけど、あの木は、あの柿の木は、まだあるかもしれんけん。

見に行きようと。













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by akikomichi | 2015-06-30 23:58 | 詩小説 | Comments(0)

『シャーペン』

シャーペンを盗んだとしよう。
君は悪意を持って、店から盗んだのだ。
では、高い金を払ってシャーペンを買って、その消費税を払うとする。
シャーペンの上に上乗せされたお金は、れっきとした盗まれたお金。
なにもしないで盗まれた公共の福祉とやらに使われるお金。
悪意を持って盗んだら罪で、大仰な理由をつけて当然のようにふんだくるだけで丸儲けのものもいる。

そして、他所の国に別の目的で横ながし続ける。

政治なんて簡単だという。
そうだろう。
それを福祉に使うと言いながら、お金に色はないのだから。
簡単に騙せて、さぞ気持ち良いだろう。
こどもだからわかりません。ではすまない。
悪意の見えないもの。



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by akikomichi | 2015-06-28 00:30 | 詩小説 | Comments(0)

『盲者の行進』

老婆は、信号を探していた。
歌のなる方へ。
杖をつきつつ地面にある凸凹のタイルを頼りに。
行きたい所はあるようで、ない。


ただ、目の前にある道を渡りたい。


そう思ったのだった。
自転車がすぐ後ろを通り抜けていく音と風がする。
今、振り向いたらいけない。
違う音が聞こえるか聞こえないかでなく、永遠に聞こえなくなるかもしれないのだ。
音と杖が頼り。

人はいるようだが、頼りにならない。
一人の人が近づいてきた。


この道を渡るのですか。
私も一緒に渡るので、よかったら、腕をどうぞ。


匂いがきつい。
女だ。
うわずってぎこちない声。
なれていない。
見えないものとの交信。


そうです。
今、信号の音がなりやんで、どっちに行けばいいかわからなかったのです。


信号の音が大きくなりだした。前へすすめの合図。
女は老婆に自分の腕を強引にもたせ、道を渡りだした。

道に印はない。
ただ音だけがする。
人がうごめく気配が今、この道を渡ってもいいという徴。


ここからは、右に行きたいので、それでは、どうも、さようなら。


一瞬、一瞬の見えない行進。








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by akikomichi | 2015-06-25 16:23 | 詩小説 | Comments(0)

前歯がかけたのは、中学生の頃だった。
歯医者に行ったのが運の尽きだった。
治療が終わったら、必ず最後に手鏡を持たせてくれ、どこをどう治療したのか教えてくれていたのに。
その日に限って、鏡をよこさず、いそいで治療を終わらせたのだった。
家に帰って、風呂に入り、歯を磨こうとした時、鏡に写る自分の前歯の隅っこが、鼠に齧られたように。
小さく欠けていたのを見つけたのだった。

おしゃれのためでなく、かけたることのなきように、鏡を持つようになったのは、それからである。

その歯医者は今はもうなくなってしまったという。
その歯医者の忘れ形見が修行して念仏を唱える人になったと風のうわさで聞いた。
別に忘れ形見に恨みはない。
千年たっても恨むとかいう物言いを、念仏したとて、何も変わらず、濁りとどまるだけであるので。
いずれにせよ、すっかり忘れていた前歯について、思い出すように、降って湧いた忘れ形見の話に。
なにかしら縁のようなものを感じずにはおれなかった。

ただしろきしゃれこうべのために、かけたることのなきように、唱えたまえば。

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by akikomichi | 2015-06-20 00:44 | 詩小説 | Comments(0)

『双子見たもの』

双子だとは知らなかった。
はじめ部屋に入ってきた人と、また同じ顔の人が入ってきたものだから。
名札がなかったら、区別も認識もできなかったであろう。

同じ夢を見たことがあるか。
聞いてみた。
流行病の時、同じものを見たと彼らはいった。

天井に恐ろしいものを見たというのだ。
何を見たのかはよく分からなかったという。
ただ同じものを見たとだけ言うのだった。

今、目の前の壁に背を向けてたっているものを。
たしかに同じものだと思えるものを見ている私がいた。

もしかしたら、彼らの見た、恐ろしいものとは。
悪夢のようにそこにいる私だったのかもしれない。



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by akikomichi | 2015-06-20 00:03 | 詩小説 | Comments(0)

『献血』

献血の後、半年近くは血を抜けないらしい。
それまで、元に戻らないということだろうか。

血を400mLばかり抜かれると、喉が異常に乾く。
身体を巡っていた血の気が引いたためだろうか。

血管が浮き出て、そこに流れているものを、ポンプで吸い取り、真空管のような、ガラス管に詰め込まれる。
動く標本のように、そこに赤々と濃いしぼりたての血が満たされていく。

久しぶりに血を見た。それも自分の血を。
少しの痛みをともなった自分から流れでた血。

血液型を判断するために、二種類の水溶液に血を数滴垂らしていた。
血が飛び散るようにぱっと雨だれがガラスに張り付くように水溶液の中で固まった。

それから、時間が経つとひとつのいきもののように血が線条にうねりだし。
やがて死んだようにうごかなくなる。

人の中を廻らない血は、早かれ遅かれ、死にゆくものなのだ。
血は人に寄生するように巡り流れているのだ。

こどもらには、この血が、少なからず混じっているのだ。
臍の緒を通って、母乳をすすって。

君たちの血が濁っているとしたら、母のせいでもある。
血の噴き出るような罪を犯したならば、言い逃れもできない。

悲しいことに、罪を犯したものは。
この血をもって、罪を償い給え。









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by akikomichi | 2015-06-19 23:04 | 詩小説 | Comments(0)