2018年 04月 29日 ( 1 )

「八十八夜の白日夢」

柔らかい青緑の茶葉をつかみ、か細い声で鳴くようにぷちぷちという茶葉の呟きのようなものを聴きながら、摘み続けていた。

朝の茶葉と昼の茶葉と夕方の茶葉は、永遠の中を漂う夢のように開いては硬くなっていく。

少しづつ開いては広がっていく茶葉は、時間を押し開くように葉を広げて、伸びやかに息をしているように柔らかな茶の香りを醸し出していくのだ。

お母さんは、その息を一つ一つ拾っていくように、茶を摘んだ。

僕も、また、お母さんと同じように、茶葉を摘み、こぼれないように掌に掴んでいった。

僕たちの時間は、どこか変わらないようで、去年とは、どこかが違うのを感じ、永遠の時間があるのなら、その時間は、このように変わらずそこにあるが、もうそこにはなくなった何かを思わせるものであるように、感じていた。

多分、それは、永遠があるならば、夢の中にあるであろうと思っている、僕の見ている、僕の手に染み付いた茶葉の薄緑色の匂いのような、八十八夜の白日夢なのであった。

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by akikomichi | 2018-04-29 21:02 | 詩小説 | Comments(0)