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きのせい

庭師の人が
きの薬をぬっていた
太い枝を切り落とされた紅葉の木に
傷はことのほか大きく
薬の色もいよいよ濃くなって
樹血の滲んだようなどすぐろさ

きのかさぶたの下にある
傷をのみでほじくり返して
きの幹に穴を穿つ
その穴を年輪を作る速度で
なんか月もなんねんもかけて
塞いでいくのだ

最初から何も
なかったような
あったような
きのせいだと
幻肢痛を撫でさすりながら
口をすぼめてみせるような






by akikomichi | 2019-12-08 01:30 | 詩小説 | Comments(0)