2016年 05月 18日
頭蓋骨 葉の細胞の繋目の じぐざぐ同じ形状という
アサガオやバラなどといった、種を撒くと最初に双葉が出る植物では、
葉の細胞の形が、人間の頭蓋骨の継ぎ目のジグザグと奇妙に一致する
ことを九州大学の研究グループが発見した。全く関係がなさそうな
人体と植物学という異分野同士をつなぐ共通点に注目が寄せられている。
植物の葉の表面にある表皮細胞は、最初はレンガを積み上げたように
直角で構成された形状をしているが、生育が進むにつれて、細胞同士を
分け隔てる細胞壁がグニャグニャと湾曲し、ジグソーパズルのピースの
ようになる性質がある。
九州大の三浦岳教授らのグループは、細胞壁を分解して、形状変化を
観察する実験を実施。その結果、細胞同士のつなぎ目である三叉の角度
が120度に近づくことに気づいた。
そこで、細胞壁が形成される変化のメカニズムを数理モデル化し、
画像処理技術で検証したところ、細胞壁のジグザグ構造が、人間の頭蓋
骨の左脳と右脳をつなぐ縫合線のパターンと共通することに気づいた。
三浦教授は「人体と植物という全くスケールが異なる2つの分野の間
に共通するメカニズムが存在することを、さらに全く関係がなさそうな
数学が明らかにした」として、これまでわかっていなかった植物細胞の
形作りの仕組みに一歩近づけたと話している。
なおこの研究成果は、米科学雑誌「PLOS Computational Biology」
電子版に掲載された。