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タンロンの歌姫

アジアフォーカス福岡国際映画祭が始まった。

すべての映画を見てみたいのだが、今日の時間が許す限り見れたものが『タンロンの歌姫』。

混乱の最中の、ベトナムの詩人と歌姫の古典的ではあるがじっくりと生身の思いを辿った淡い恋の物語。

上映後の主催者の方と監督さん、俳優さんのトークによると、この映画を創るにあたって、歴史的建造物があまり残っていないので、一からその頃にあったであろう場を創ったということであったが、かつてベトナムにあった国々の中を貫く、歌と詩を教えてもらった気がした。


片方の目で未来を見、もう片方の目からこぼれて落ちていくひとつの言葉のような、透明な涙のような歌。

歌うものの姿が、丸い弦楽器の形をした井戸の水面にうつりこみ、たゆたうのを掬いもせずに、ただじっとみつめているような歌。

魂は小鳥になって山の向こうに飛んでいるというのに。


何度でも蘇る歌と詩というものがあるならば、そういうものを創っていきたいものだ。

五百年後も千年後も残りうるものができるならば、それほどの喜びはないかもしれない。

等と思いながら、こどもにもなにかしらのこういった思いを受け継いでもらいたい。等とも思いつつ見ていた。
Commented by コントマト de マグロ at 2011-09-18 00:42 x
グエン朝のベトナムには、明朝の雅楽の八イツが、残って居た様です。  隣国韓国には、宋代の雅楽の楽譜が残っていまして、戦後、復刻しましたが、一寸、テンポが速過ぎる様に思います。 日本の雅楽は、唐代の雅楽ですが、八イツは、廃れてしまいました。 本家の中国は、韓国の雅楽をアレンジして福田総理の訪問時に孔子廟の前で八イツを舞い演奏してました。
ベトナムには、貴重な文化遺産が、沢山在ったのに残念です。
Commented by akikomichi at 2011-09-19 18:28
本当に残念です。

この映画では西山朝の頃のベトナムということで、清朝との繋がりがあったということでした。

漢字も使われており、詩の形もまた影響を受けているようでありました。

弦楽器の名は「琴(カム)」というもので、中国の二胡?のような弾き方をするもの哀しいかぼそくも切れ長の音を奏でておりました。

それもまた中近東から連なる楽器であることを思うと、アジアは広くもつらなりあうものがあることを実感しました。
by akikomichi | 2011-09-17 20:41 | 日記 | Comments(2)