タグ:詩小説 ( 247 ) タグの人気記事

七島藺(シチトウイ)

七島藺(シチトウイ)は庶民のものであったという
今は行き渡るほどなく貴重なものになったという
七島というのはトカラ列島のことだという
藺草(イグサ)の仲間ではあるが
柔道の畳にも使われるほど丈夫であるという
比較的暖かい場所で育つもので
沖縄などではマングローブの近くにも生えているという
暑い日差しにさらされて
強度を持つようになったのだろうか
寒いところの木々草々は美しくするりと偲びながら立っているような
暖かいところの木々草々は伸びやかにゆるりと立っているが強靭な図太さがあるような

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by akikomichi | 2017-06-01 22:44 | 詩小説 | Comments(0)

ささ葺きの家

ささ葺きの家があるという
ささで葺くということを
知らなかった
茅 よしに限らず
いろいろな素材を葺くことで
いい塩梅のところを手探りしながら
今の形になっていったのであろうことが
想像できる


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by akikomichi | 2017-05-31 22:05 | 詩小説 | Comments(0)

柿渋

丘の上
柿渋を木肌に馴染ませ
大工さんが刷毛で塗る
柿渋の一番渋と二番渋
色の違いはあろうとも
同じ生青い柿から絞り出された汁
発酵されて馴染んでいくのは
青く渋い時に包まれたものだ


 

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by akikomichi | 2017-05-30 21:35 | 詩小説 | Comments(0)

「けらば」

道すがら
けらばが気になってしょうがない
どのうちの屋根を見ても
けらばを探している
さいきんけらばに目が行くようになった
屋根はもちろんだが
細部を確認したくなるようになったのは
けらばとは何かを探しているからである
屋根とは何かを探していると
けら場とは何かに突き当る
いずれ全てに及んでくるとは思うが
今は屋根からけらばへ続いている流れが知りたい



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by akikomichi | 2017-05-26 20:55 | 詩小説 | Comments(0)

「霧の道」

夜に出かけることはほとんど無いのだが
今日は用事があり
山の麓まで行く

最初 
誰かの亡霊かと思った
ゆらゆらと蠢めくものが近づいてきた

前が見えなくなった
柔らかい霧が漂うていた
雲の上に住んで漂うているような日々のただ中

山の裾野まで霧衣が
雨と風にあおられてゆらゆらしていた
山の道は霧の道


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by akikomichi | 2017-05-24 21:59 | 詩小説 | Comments(0)

地下たびと花火と


地下たびを取り替えに無法松に行き
教えていただいた川沿いの温泉につかり
その帰り道
日田の花火が上がるのを見た
1年ほど前にも見た
福島の花火を思い出した
あの時は鍵を探している人と
津波にのまれた木々と出会ったのは
たびの途中のことだった
時間は花火よりも早く散り散りになり
瞬きしている間に
すっと暗闇に消えていくが
山の暗闇にも慣れて
怖いものなどなくなったように
ひょっこり現れた
タヌキに出会うように
偶然に感謝して
坂道を登り詰めたところで
生き延びていくのだ


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by akikomichi | 2017-05-21 22:29 | 詩小説 | Comments(0)

「雉の鳴き声」

昼のこと
茅葺の屋根のそばで憩いながら夢現つの最中
キーと高く何かが鳴いた
目を開けると草むらの真中に赤と緑の際立つ鳥の姿が目の中に飛び込んできた
雉がすぐ近くで立っていた
雉の鳴き声を初めて聞いた
放し飼いにされている雉の鳴き声を聞いた
番になって相聞歌のようにないてお互いの居所を探しているのだ
目に見えない片割れが丘の向こうの草むらで
キーと鳴いていた


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by akikomichi | 2017-05-17 20:10 | 詩小説 | Comments(0)

「大鴉との勝負どころ」

大鴉は朝頃やってきた
警戒することもなく優雅にそれでいて意外ときょとんとした目をして
作りかけの屋根の上に乗っかって悠々としている
しかし昨日はツボの中にあるタブレットに気づかなかったようである
ひとまず勝負あり
鉛筆のように先が削がれた木の杭の上でも遠くを見ていた
あの大鴉は本当にあどけなく優雅であった
また明日会えるといいが


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by akikomichi | 2017-05-16 21:14 | 詩小説 | Comments(0)

「大鴉との勝負どころ」

大鴉が作りかけの茅葺の屋根の中に舞い降りて
熱中症予防のタブレットを突いて食べていた 
袋を突いて食べていた
次の朝
箱にしまっていたタブレットを開けて食べていた
今日はツボの中に入れておいたので
食べられまいが
大鴉のこと
ツボをひっくり返していないか
明日の朝が勝負どころ


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by akikomichi | 2017-05-15 22:12 | 詩小説 | Comments(0)

「山の霞」

山の霞の中にいた
雨が降り続く中にいた
雷が二度間をおいて光り
二度雷音がついてきた
霞を食って生きていけないと言われたが
霞を体一杯に吸って生きているような
霞に食われているような
そういうやすらいだ休みの中にいた
そうして
茅葺の家を描き出す
美しい茅が濡れている
屋根の上の苔の間に
新しい緑が生き生きと濡れている
そうやって茅葺の屋根は
いつの間にか
この山々のように
私の中に生き続けている
山々の霞を食って
霞に食われて生きている

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by akikomichi | 2017-05-12 22:31 | 詩小説 | Comments(0)