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杏ジャム

久しぶりおやすみの朝
目がさめきらないまま
熟れきった杏で
杏ジャムを作った
灰汁を取り
ふつふつ煮詰まってきた杏は
種だけが魂のように杏の海を浮遊していたが
とろとろと溶けだした
甘すぎないさんみ一体



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by akikomichi | 2017-06-18 10:30 | 詩小説 | Comments(0)

長距離走者の

今日 私は赤い鉄針を持って走っていた
ひたひたと走っていると
どうしても
アラン・シリトーの長距離走者の孤独
を思い出す癖がある
刑務所にいるが早朝に走ることを特別に許された男の話
走ることが 唯一 男の自由であったような話


小学生の団体の中をすり抜けて走っていると
男の子がわざわざ立ち止まって
頑張ってくださあい
と言った
孤独とは程遠く
まして短距離であったが
なんだか心持ち体が自由であった




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by akikomichi | 2017-06-16 21:28 | 詩小説 | Comments(0)

杏の木のしたには

杏の木のしたには
丸々とした杏が転がっていた
拾って皮のまま食べた
ほのかに酸っぱい実の後から
日に照らされた甘みが
ざらついた皮に張り付いているのを口にほおばりながら
考えていた

アフリカ出身の方はりんごは種まで食べるとお聞きした後のこと
なぜ我々は皮をむくのか
皮をむくようになったのか
考えていた
そのままの魂の美味しいところをべろりと剥がしているような
そのままの魂の種を吐き出してきたような
我々であったが

それでも
杏の種は頑なすぎて飲み込むことはできなかった
杏の木のしたには口があるというのに
我々は飲み込むことができずに
そのまま大地に
その魂を返した



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by akikomichi | 2017-06-15 23:25 | 詩小説 | Comments(0)

黒と赤と

ラーメンを先輩方と食べに行った 
焦がしニンニクの入った黒をいただく
赤は辛いという

そういえば
現場からの帰り際
道の向こうで交通規制がかかっていた
でかいトレーラーがUターンをしていた
赤い消防車が集まっていた
火事を捉えようとカメラが来ているようだった
黒煙は見えなかったけれど
駆けつけたサイレンの音は現場にも聞こえていた
以外と近くであったことに驚く
高速から赤いランプがくるくると回っているのが見えた

黙々と食べながら
美味しいと思いながら
どこからかほろ苦い味がしてきた
どうか
ご無事でありますように
と思うことしかできないが
器の隅に溜まった焦がした後の
黒いスープの上澄みを啜りながら
どうかどうかと思っていた




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by akikomichi | 2017-06-15 21:40 | 詩小説 | Comments(0)

こじ開け

こじ開けでこじ開けたヨシの奥には竹のあり
みちひもをとおし
みちひもでみちぎをしっかりと男結びで結びつけるため
一つ一つの繰り返しが
一つの屋根を作り
一つのうちを作る
一つが全てに全てが一つになる
というのは
そういうことなのかもしれない
一つ一つで成り立っていくもの
そういうこうとに心血を注ぐこと



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by akikomichi | 2017-06-12 20:42 | 詩小説 | Comments(0)

「カラスと差しヨシ」

初めて引き出しもののカラスを使いヨシを引き出した。

それから、差しヨシをした。

嬉しかった。

最初の一歩であった。

黒い烏が久しぶりにやってきて近くでないていた。

なんだか余計に嬉しかった。


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by akikomichi | 2017-06-09 21:21 | 詩小説 | Comments(0)

暗闇の中
廊下を右足を引きずりながら歩いて転倒した父

右足と右手から転がった
右半身不随の父

転倒・つまずきの可能性あるところ
足元・手元注意

と言う文言を
一日の注意事項として毎日書き続ける現場の中

父の現場において
一日の注意事項が暗闇の中つまずいた

あと一年は生きるか否か
父は電話の向こうの暗闇で笑いながら言う

あなたは暗闇でもつまずいても
笑いながら生きてきたのだから

その暗闇の重みに耐えられるように
転倒・つまずきには注意


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by akikomichi | 2017-06-07 22:22 | 詩小説 | Comments(0)

沢蟹の横歩き

雨の中 
杉皮の作業を終えて 
休み中
沢蟹 足元 横歩き 
両手鋏のこの蟹の
触覚のような目ん玉の
こちらを向いて横歩き
杉皮切った鋏ほど
でかくはないがなかなかの
挟み具合の鋏もち
さわさわ 目の前 横歩き
雨つぶ 避けて 横歩き
沢蟹と目が逢うたのだ
雨の中  






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by akikomichi | 2017-06-07 21:37 | 詩小説 | Comments(0)

骨と肉体

骨になる前に肉体を動かしていく方が良い
骨だけでは動けなかったものが
動き回れるようになったのは肉を持ったからでもあり
動き回るばねを持つ肉こそが骨を守り続けていたのだ
それでも
聞く耳をもたず
骨になるまで嘆くものよ
あなたもそろそろ嘆き疲れはてたであろうが
最後まで
骨の髄が空になるまで
骨になるまでカラカラと嘆き続けるのだろうが
骨はもう自らの意思で動きはしまい
ただそこで掘り起こされるのを待っているだけなのだ

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by akikomichi | 2017-06-05 16:55 | 詩小説 | Comments(0)

竜巻のような

煙風巻きあげ渦巻き舞い上がる 
竜巻のようなものを見たまひる
鳶が丘の上を舞いながら渦を巻いていた
皆がめを回すような
めくるめくまひるの暑さだ

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by akikomichi | 2017-06-04 20:59 | 詩小説 | Comments(0)