タグ:詩小説 ( 244 ) タグの人気記事

からすとこじ開けと

からす で よし を引き出し
新しいよしを親方に手渡す
少しずつでも
先を見て進んでいけたらと思う
こじ開けを使い
二番鉾にしろ縄をかけ
みちぎに男結びで結わえることも
先輩にさせてもらえるようになった
少しずつでも先を見て進んでいけたらと思う
うちに回って鉄針を取る
アバカを竹に回すために
やらせてもらえないことよりも
やらせてもらえる喜びの大きいこと
教えていただいた方々に対する感謝となり
自分のできることを広げていけることへの感謝となり

[PR]
by akikomichi | 2017-08-31 20:03 | 詩小説 | Comments(0)

「風の波紋」

「風の波紋」というドキュメンタリーにも出てくる茅葺の屋根改修にも関わっておられる写真家の高松さんが、さしよし補修をしている現場に偶然、足を運ばれて訪ねてくださった。

自然に生きるということを実践されている方々で、自分の理想でもある。

狭い世界に閉じこもり、いがみ合うようなことがしたくないのなら、いろいろな世界を見て、存分に、味わっていきたい。

いつか尋ねてみたい。

世界が少し広がった気がする。

ありがたいことである。

[PR]
by akikomichi | 2017-08-30 20:27 | 詩小説 | Comments(0)

茅葺と陶芸と

星野村周辺を散策し、茅葺屋根やかつて先輩方が作られた屋根を見てきた。

星野村にある原爆の火も拝見した。
火は高いところにあり、遠くからしかそこに火があると気付かないくらいほのかな火であった。

茅葺の先輩の森けんさんが屋根を葺いたという山本源太さんの窯にも寄らせていただいた。

美味しいお茶と奥様のお手製の抹茶寒天の風味を源太さんの器が包んでいた。
その全ての、手触り肌触りをも美味しくいただく。

僕の星という鉄の星のようなイガイガが突出しているものを見て、サザエあるいは昔の鉄の玉にチェーンをつけて振り回す海賊の姿を思い浮かべたりしていた。
聞くところによると、源太さんは自分の名前をつけた星があるという。
そのイメージがここにあるのだ。
源太さんの詩集を森けんさんからいただき、じっくり読んでいる。
土と会話して、星野村にあるいろいろな風景と目と手と言葉と体全体で生まれだしていくものがそこにあり、私も源太さんと同じ道を歩いていることに気づく。
とても近しい詩や言葉の紡ぎ方。

今、私は手の力をとても信じている。
心から信頼している。


それから、お猪口と茶碗を、心から信頼し尊敬する先輩である上村さんと、心優しい森けんさんと作らせていただいた。
犬のロクちゃんがワシャワシャと肉球で背中を押してくれたり、匂いをクンクン嗅いでいた。
この匂いを含めての出会いを覚えてくれたに違いない。
土は滑らかで心地よく、人肌のきめを細かくしてくれる柔らかさであった。
そこにたまる土と水の混ざったものの中におたまじゃくしやヤゴが住んでいたくらい、すみごごちの良い土なのであった。
上村さんや森けんさんの手は大きく、手仕事をされている方のおおらかな大きな手は言ってみれば無骨なのであろうが、そこに力強さと全てを包み込むおおらかさと優しさのようなものを作り上げていくものを感じた。
この世界があって本当によかった。

茅葺も陶芸も人の手を通して作り上げられていく、柔らかいものなのだ。







[PR]
by akikomichi | 2017-08-23 05:16 | 詩小説 | Comments(0)

四十九日

四十九日が近くなり、盆でもあり、亡くなった先輩のお宅に皆さんと伺う。

奥様と子供さんはいつも通りの日々を過ごしておられるようであったが、大きな存在をなくしたことは、ご家族にとっても、私たちにとっても、未だに受け止めきれないもののように思われた。

写真の先輩は微笑んでおられるが、どこか上の方、遠くの方を見ているようで、もう、お話しすることも、教えていただくこともできない哀しみのようなものを置いて行かれたことを思った。

まだ、そこにおられるような、そのような気になることも、しばしばであった。

身が引き締まるような、何事もおろそかにできない、見えないものを感じるような。

犬の梅子ちゃんが、見知らぬ人々が来たので、びっくりしたのか、よく吠えていた。

梅子ちゃんの鳴き声が、いつまでも、帰り道にこだましていた。

[PR]
by akikomichi | 2017-08-13 21:11 | 詩小説 | Comments(0)

「月蝕」

ハサミを入れる皮の入れ物の修理を個人でカバン作りをしている方に頼んでいた。

汗で皮が溶け出したようにしてできた穴が鋲よりも大きくなった。

地球を飲み込んだ影のように、ぽっかりとした見えない闇を作り出していた。

月を蝕うような闇が底なしの穴を作っていくような夜に、人工の小さな太陽の光を溜め込んだようなコンビニエンスストアで待ち合わせをしていた。

彼女はすでに来ていて、雑誌のところに立っていた。

私は、ハサミを入れる皮の入れ物の二つの穴を埋めた、新しい皮に縁取られた白いステッチが手縫いであることを教えて貰った。

柔らかい白い線に縁取られた二つの鋲は、銀色に光っていた。

彼女が、一つだけ打ち込む時に凹んだといった。

ハサミがあまり良く切れず、新しいハサミを手に入れたばかりだったので、ようやく、おさまるところを直してもらったのだから、それくらいのことはよしとした。

彼女の作る手作りの鞄も秋頃にはできるという。

一つ一つ形を作っていくことの喜びを知っている人は幸いである。

私は、茅葺の屋根を見るたびに一つ一つの茅の収まりどころを思った。

重なっていく茅の重みと竹の押さえ。

一つ一つの茅になったように、見続ける毎日を過ごしているうちに。

いつの間にか、私は茅葺の屋根になっていくような、茅葺そのものになっていくような気になってくる。

雨にさらされ、強い日差しにさされ、風を受けて、そこにいるのだ。

などと思いながら、明るすぎるコンビニを出て、真っ暗な山道を車で駆け登っていくと、異様に黄色く光る月が出ていた。

もうすぐだった。

夜中を過ぎてから、月蝕が始まるということを思い出していた。

地球の影と月が重なる時。

私たちは、それぞれ闇を孕んで向き合うように、月が闇に喰われてしまうのを恐れもせずに、そのまま、そこにいた。




















[PR]
by akikomichi | 2017-08-08 02:10 | 詩小説 | Comments(0)

「稲の花」



稲も花が咲くときがあるのだという
稲の花は白いという
もう少しで花が咲くという
花が咲くとき雨風はない方がいいという
一つ一つの米に花が咲くとき
愛し合うといい
小さな実がつくとき
白い実を一緒に食べればいい


[PR]
by akikomichi | 2017-08-01 19:50 | 詩小説 | Comments(0)

「今年の蛍」


久しぶりに散歩をした。
暗い夜道を歩いていると星がくっきりと見えてきた。
山の星は近くに見える。
しばらく歩いていると道端に
今年初めての蛍を見た。
この時期に見れるとは思ってもいなかった。
光っては消えていくほのかな明かりにつられて立ち止まった。
これからどうやって生きていけばいいのだろうか。
心の中で蛍に尋ねてみたくなった。
光っては消えていくほのかな明かりは
何も言わずにただそこにいた。



[PR]
by akikomichi | 2017-07-31 22:42 | 詩小説 | Comments(0)

「最後の試合に」

高校生最後の剣道の試合に臨んだ倅であった

体が心を通り越して動くような

気持ちが重心になっているような

それでも体の動きは自由の中にあった

一人抜き

二人抜き

切り込んでいくその体は自由そのものであった

凄まじい風を作るような自由

生の喜びの中 動き回るような

あそこまで自由に動けるようになった倅の凄まじい努力を思うと

母は涙が自ずと出てきて止まらず

いい試合であった

面白い友と出会えて

良き師に出会えて

幸せな時をもらって

あなたが自分が生まれてきてよかったと思える時を

あなた自身が自分の力で作っていることに

心から感謝する




[PR]
by akikomichi | 2017-07-28 17:34 | 詩小説 | Comments(0)

「そこが抜ける」

そこが抜けたのは、小走りで走った日のこと。

古い板に自分の足を飲み込まれた。

足が入った先には。

刻刻の刃の欠けた鋸のような真っ暗な穴が口を開いていた。

急いではことを仕損じる。

今日、その穴をふさいでいただいた。

焦らぬように、ゆっくりといこうという戒めのような新しいそこ。

[PR]
by akikomichi | 2017-07-25 20:51 | 詩小説 | Comments(0)

「蛇の抜け殻」

蛇が茅葺屋根にいたという
大きな腹をしていたという
ことりがいなくなった
丸呑みにされたのだろう
街中のビルでは三、四階はあろう高い屋根の上に
蛇が息を潜めて生きている
ことりを狙って

蛇の抜け殻があった
死んだわけではないのだ
抜け殻になっただけである
その生身はきっと
どこかで生きながらえている

帰り際
小さな蛇が道を横切っていた
脱皮した蛇ではなく
魂だけの
まだ生まれたてのような
細く小さな体をくねらせて
草薮に消えていった




[PR]
by akikomichi | 2017-07-20 01:24 | 詩小説 | Comments(0)