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地下たびと花火と


地下たびを取り替えに無法松に行き
教えていただいた川沿いの温泉につかり
その帰り道
日田の花火が上がるのを見た
1年ほど前にも見た
福島の花火を思い出した
あの時は鍵を探している人と
津波にのまれた木々と出会ったのは
たびの途中のことだった
時間は花火よりも早く散り散りになり
瞬きしている間に
すっと暗闇に消えていくが
山の暗闇にも慣れて
怖いものなどなくなったように
ひょっこり現れた
タヌキに出会うように
偶然に感謝して
坂道を登り詰めたところで
生き延びていくのだ


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by akikomichi | 2017-05-21 22:29 | 詩小説 | Comments(0)

「雉の鳴き声」

昼のこと
茅葺の屋根のそばで憩いながら夢現つの最中
キーと高く何かが鳴いた
目を開けると草むらの真中に赤と緑の際立つ鳥の姿が目の中に飛び込んできた
雉がすぐ近くで立っていた
雉の鳴き声を初めて聞いた
放し飼いにされている雉の鳴き声を聞いた
番になって相聞歌のようにないてお互いの居所を探しているのだ
目に見えない片割れが丘の向こうの草むらで
キーと鳴いていた


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by akikomichi | 2017-05-17 20:10 | 詩小説 | Comments(0)

「大鴉との勝負どころ」

大鴉は朝頃やってきた
警戒することもなく優雅にそれでいて意外ときょとんとした目をして
作りかけの屋根の上に乗っかって悠々としている
しかし昨日はツボの中にあるタブレットに気づかなかったようである
ひとまず勝負あり
鉛筆のように先が削がれた木の杭の上でも遠くを見ていた
あの大鴉は本当にあどけなく優雅であった
また明日会えるといいが


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by akikomichi | 2017-05-16 21:14 | 詩小説 | Comments(0)

「大鴉との勝負どころ」

大鴉が作りかけの茅葺の屋根の中に舞い降りて
熱中症予防のタブレットを突いて食べていた 
袋を突いて食べていた
次の朝
箱にしまっていたタブレットを開けて食べていた
今日はツボの中に入れておいたので
食べられまいが
大鴉のこと
ツボをひっくり返していないか
明日の朝が勝負どころ


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by akikomichi | 2017-05-15 22:12 | 詩小説 | Comments(0)

「山の霞」

山の霞の中にいた
雨が降り続く中にいた
雷が二度間をおいて光り
二度雷音がついてきた
霞を食って生きていけないと言われたが
霞を体一杯に吸って生きているような
霞に食われているような
そういうやすらいだ休みの中にいた
そうして
茅葺の家を描き出す
美しい茅が濡れている
屋根の上の苔の間に
新しい緑が生き生きと濡れている
そうやって茅葺の屋根は
いつの間にか
この山々のように
私の中に生き続けている
山々の霞を食って
霞に食われて生きている

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by akikomichi | 2017-05-12 22:31 | 詩小説 | Comments(0)

「サワガニとカエル」

雨が降っていた。
カエルがないていた。
溝の掃除をしているとサワガニが出てきた。
すぐ近くの川から登ってきたのか。
小さいが威勢がいい。
さらった溝の土は黒くよく肥えている。
それを縦に割った竹ですくい上げて山に返そうとしたら
カエルがいた。
緑黒肌に白い斑ら模様の大きなカエル。
じいっと背中を向けていた。
大きな複眼に見られているように。

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by akikomichi | 2017-05-09 19:40 | 詩小説 | Comments(0)

肉会

昨日は懇親会のような肉会
食に関するお話は尽きない
フィリピンのコーヒーのザラザラした後味もまたいいという話
フリピンのウツボ丼や夜光貝の話
沖縄の島にあるヤシガニはアダンを食ったものは当たるので食えない話
職人仲間の皆様の腕に覚えあり
昆布締めやくるみやリンゴのチップの燻製
採りたてのしいたけやタケノコ
美味しい山口のお酒もいただく
いい酒の肴と気のおけない方々とのゆったりとした時間を過ごさせていただく
いい出会いと仕事に感謝してもしきれない

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by akikomichi | 2017-05-07 19:45 | 詩小説 | Comments(0)

「からすどまり」

日田から湯布院に行く道すがら

小高い丘の上に親方たちが作ったという茅葺屋根のお家がある

そこを覗いてみると

一本の茅を咥えてからすが茅葺屋根にとまっていた

得意そうに茅葺屋根の上にとまっていた

茅葺屋根にはからすどまりというものがある

からすどまりにからすがとまるように

いたずら好きのからすがそこにいてくれるように

棟の少し下に

ちょこんとのっかれるようにこしらえてある

からすも茅が好きなのだ




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by akikomichi | 2017-04-30 20:34 | 詩小説 | Comments(0)

年輪と節々

丸太積むトラックの後ろ走り行く 
あの年輪の赤黒いところは
切ったばかりにまだ水気を含んだ木の証拠
しばらくすると
あの赤黒い年輪は乾ききって
おなじ白っぽい色になると親方が教えてくださった

竹は温泉が湧くところのものは柔らかく
枯れたところに生える竹はきんと硬く乾いているものが多いという
そこにあるものは
そこで生きてきた証のような節々を残しているものなのだ
と親方が教えてくださった

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by akikomichi | 2017-04-29 21:16 | 詩小説 | Comments(0)

茅の旅と帽子猫のお迎え


一日 片付け
みちぎや足場板や茅を運ぶのも慣れてはきたが
肩に食い込む長いみちぎの重さがひりひりしてくる

あんまり長いので
透明な重りと見えない重い荷を天秤にかけているような
そんな気分になる

一輪車で運ぶバリカンで刈られた茅も
ちくちくするプラスチックの輪のようにてかり
隙間を埋めるだけ埋めて容赦なく重い

男も女も関係なく
重い荷物を運ぶのはいい
屋根に登って遠くを見ながら目の前の茅を屋根葺きできたらなおいい

湯布院から日田まで
一時間半ほどの茅葺の旅ももうすぐ終わり
次の現場に移動となる

新米の運転でつまり私の運転で帰ると
帽子猫が階段を上ってやってきた
まだ子供のようで
何してるのとじっとこちらを見ている

お家に入ってくるかなと思ったが
じっと招き猫のように座っている
ここで待っていてくれるなら旅もまたいい


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by akikomichi | 2017-04-27 20:05 | 詩小説 | Comments(0)