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「子供の頃の自分」


子供の頃の自分にあったことがあるか。

と、不意に、本当に不意に、道を歩いていると、女の人に聞かれた少女がいた。

少女は、本当のところ、家の窓から覗くように、自分の子供の頃にあって、二人で一人のように、親子のように、目の前で肩を組み歩いていく似姿、もっとも凸凹ではあったが、を見たことがあった。

が、その女の人が、そのことを知っていて聞いているのか、知らずに聞いているのか、気になったので、本当のところを話していいのかどうか、考えあぐねていた。

あなたはどうなのですか。

少女はその女の人に聞いてみた。

女は、本当のところ、家の窓から覗くように、自分の子供の頃にあって、二人で一人のように、親子のように、目の前で肩を組み歩いていく似姿、もっとも凸凹ではあったが、を見たことがあった。


それが、自分の身に起きることとは毛頭考えてもみなかったが。

時間のねじれなのか、時間の底には、幾重にもなった自分が重なって、時として、その生きた時間の底が開いたように、であってしまうということがあることを。


by akikomichi | 2017-03-19 07:47 | 詩小説 | Comments(0)