「茅葺への道」

第一回プラチナブロガーコンテスト




朝靄の中
山の懐に赴けば軽トラックのドアが風もないのにきしみだし
カーブの向こうに投げ出されそうな鎌たち
ギヤチェンジしながら
この感覚は久しぶり
この登りつめていくギアの感覚は息継ぎ
車の加速の息継ぎ
茅場で徐々にかられて丸坊主になっていく
冬の山肌をされしていく感覚にも似ている
見晴らしのいい山の上までかられた一本道は
いつの間にか
すべすべとした山肌になっていく
ギヤチェンジというより様変わり
午前中だけ茅を刈り
雨雲がやってくるのを見越して
山を降りてくる
温泉に浸かり汗を流していると
足のすねに茅の尖った先に引っ掻かれた後が何箇所かできていた
このヒリヒリとした痛みは茅の痛み
切られた後の痛みのようで
しみてきたのも茅の身に起きたことに比べれば
かすった痛み
湯船で思い巡らし
体を巡った雲のような霧の痛みを晴らしていく
リセットされた体と頭と目に映るのは
根子岳
露天風呂は小雨に打たれていた
それから温泉の暖簾をくぐると、放し飼いにされたヤギの群れに出会う
岩場と木の茂った庭で新芽を背伸びしながら食べていた
毎日しているとキリンにはなれないかもしれないが
リャマにはなれそうなくらい
小さなヤギさんはもう下の方は根こそぎ食べられていて食べられるところがないようで
岩の上で磁石で動く人形のようにじれったく蠢いていた
雨がさらに降り出した
やはり山を早めに降りてきてよかった
少しは山の気持ちがわかるようになってきたのかと
巡っていくことの心地よさを思う







アート・デザイン部門

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by akikomichi | 2017-01-29 15:05 | 詩小説 | Comments(0)