井上光晴 「明日」

井上光晴 「明日」を拝読。

原爆を落とした男の手記と並行して。
日本の日常を見ようともしなかったものは、非情に原爆を落としていったことを正当化する。

井上はひたすら明日何が起こるかわからない日常を生々しく再現する。
坂を上り下りしながら、明日を慮るように。
結婚式に関わった者たちのそれぞれの生活があるように、日本人のそこにある生活を、日本人ではなかったものをも、そこに住むものたちをも破壊していった一瞬の原爆。
赤子を産み落としながら、おそらく、明日には逃げ切ることができないのではないだろうかというような場所に住んでいる者たち。
明日、死ぬかもしれないのに生み出すものたち、生まれるものたち。

原爆を落とした男が見たのは、ただの爆弾。

生活をしていたものが見たのも、ただの爆弾。それから、死。炎、灰、血、骨、煙、破壊、地獄。


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by akikomichi | 2016-12-19 07:22 | 日記 | Comments(0)