『白線上のカラス』

昨日のこと。

新潟の富山よりの方の能生の白山神社の茅葺屋根を見たのち、一つ手前の道で右折してしまい、高柳の荻野島の茅葺屋根集落になかなかたどり着けないでいた時のことである。

曲がりくねった道の、白線上にカラスがいた。

一羽は羽を引きずっており、飛びそこなったのか、車にひかれたのか、ばさばさと片方の羽だけで、飛び立とうとしていた。

よく見ると、もう一羽のカラスがさも心配そうに、羽を優しく押し上げようとしていた。

親子なのか、夫婦なのかよくわからないが、そういう風に見えたのだった。

私の車が近づくと、羽を押し上げようとしていたカラスが飛び立ってしまった。

一羽だけ、取り残されたカラスが白線上に残って、もの悲しい一声を振り絞っていた。


ふとシートン動物記を思い出した。

カラスの大将が出てくる話。

カラスの言語的音階があるという。

先日、新潟の柏崎の地元の人を紹介する館にふらりと立ち寄った時に、シートン動物記を訳した人が柏崎の人ということを知ったので、思い出したのであるが、あの一声は別れの音階に違いないと、通り過ぎていくバックミラーの中の一羽にカラスが音符の、8分音符のようになるまで覗きながら、そう思った。
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by akikomichi | 2016-07-31 17:39 | 詩小説 | Comments(0)