人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『放射能と黒猫』


放射能は71年も経てば何事もなかったように透明になり
黒焦げの影は銀行前の階段にやけついたままだ
黒焦げになった魂は車を見ていた
黒猫のように
白い輪投げゲームの先には風通しされた被爆者名簿
原爆の火は燃え続け
焼けただれた魂の火の玉
口封じはされることはない
口すら吹き飛ばされていて
魂だけになっているから
死んだものはそれからも途絶えたことはない
見える形であれ
見えない形であれ
わかるやり方であれ
わからないやり方であれ
黒猫はどこにでもいるのだ
壁に塗り込められてないているかと思えば
あなたの前を通り過ぎるのだ
殺したものが
忘れないように
死ぬまで忘れないように
あなたの前を横切るのだ
あなたの死を思うように
黒猫はあなたの前を横切るのだ
見えない放射能の影絵のように
横切るのだ 
殺したものが
死ぬまで忘れないように
by akikomichi | 2016-05-29 21:02 | 詩小説 | Comments(0)