世界を揺るがしている租税回避者リスト「パナマ文書」。しかし日本政府がその調査を行わない方針を明らかにしています。

パナマの法律事務所から2.6テラバイトにも及ぶ大量の内部文書、通称「パナマ文書」が流出したことによって、同国のタックスヘイブン(租税回避地)を利用して世界中の政治家や著名人、セレブリティに大企業が資産隠しや課税逃れを行ってきた疑惑が次々と浮上してきました。
産経新聞社の報道によると、菅義偉官房長官が6日の記者会見でこの問題に触れ、「文書の詳細は承知していない。日本企業への影響も含め、軽はずみなコメントは控えたい」と述べ「世界全体で租税回避について連携している中、今回新たにこうした実態が報道ベースで発表された」と指摘しました。
しかし、各国政府が調査に乗り出すことを明言し、既にアイスランドでは関係を指摘されたグンロイグソン首相が辞任に追い込まれるなど大きな問題となっているにも関わらず、菅官房長官は日本政府として文書を調査する考えはないとしています。
実際には非居住者向けのオフショア企業に資金を保有すること自体は違法ではありませんが、そこで問題になってくるのはごく一部の富裕層や大企業が租税回避地に資金を置くことで、本来なら支払わなければならないはずの税金を回避し、国が取れるはずの税収が減少していること。
現在日本では諸々の社会保障の削減問題、格差と貧困の問題、保育士や介護士の賃金問題など、財源確保が必須な案件が山盛りとなっています。そうした中で、富裕層や大企業が自らの資産をタックスヘイブンに逃がすことで徴税を回避し、足りない分を逆進性の高い消費税の増税で国民から賄おうとするのであれば、それは極めて不公平と言わざるを得ません。
資産隠しや課税逃れをしっかりと調査し、支払うべき税金を支払わせ、必要な問題の財源に当てられるようにしていただきたいところです。