『伝言』

知らなかった「伝言」の内容を知らされるのは、いつもぎりぎりの時であった。

間に合うか間に合わないのか。

その「伝言」を伝えたいのか、伝えたくないのか。

その狭間で、伝えられるはずの言葉は、行先を探しているのであった。

言葉は、しかし、時として、違った言葉に置き換えられるものであった。

私の場合は、住所が違っていた。

届くはずの葉書が、いつまでたっても届かなかったのだ。

その狭間で、行先を失っているだろう言葉は、どこにもたどり着いていないのであった。

伝言ゲームのように、間に入ったものの手に委ねられていた。

届くはずの葉書は、どこかで違ってしまった。

私には、言葉はいつまでも届かなかった。

そうして、言葉を直接伝えることにした時、その「伝言」があったことを知ったのだった。







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by akikomichi | 2016-01-30 23:09 | 詩小説 | Comments(0)