『赤の書』より C.G.ユング著 創元社



 嫌なもの全て、気持ちの悪いもの全てが、あなたにとって特別な地獄である。どうしてそれ以外にあり得ようか?ほかのどの地獄も少なくとも見るに値するか、あるいは愉快であろう。しかし、それは決して地獄ではない。あなたの地獄は、あなたがかつて罵ったり足蹴にして自分の聖域から投げ出したもの全てからできている。あなたが自分の地獄に入るならば、美しく苦悩する者や誇らしげに軽蔑する者として入っていくとは決して考えてはならない。そうでなくてあなたは、愚かで野次馬根性の間抜けのように入り、手つかずになっている仕事に目を見張る。
 あなたは憤懣やるかたなく振る舞いたいだろうが、同時に、いかに押し殺した怒りが自分にふさわしいかがわかる。あなたの地獄の滑稽さははるかな先まで広がっている。罵りの言葉を吐けるのは幸せだ!罵りが命を救うというのを経験するであろう。だから地獄を通って行くときは、自分に何が降りかかってこようとも、それに注意を払うことを忘れてはならない。軽蔑や怒りを引き起こそうとするもの全てと、静かに対決しなさい。それを通じてあなたは、私が青ざめた娘と体験したような奇跡を成し遂げる。あなたは魂のない者に魂をもたらし、それを通じてぞっとするような無から何かがもたらされる。こうしてあなたの他者は生へと救済される。あなたの価値は、あなたが現在においてそうであるものから前へと、あなた自身を超えて、あなたを引き離そうとする。しかし、あなたの個別的存在はあなたを地面に錘のように引っ張る。あなたは両方同時には生きられない。なぜならば両方は相互に排除し合うから。けれども、その途中であなたは両方を生きることができる。だからその道があなたを救済する。あなたは同時に山と谷にいることはできない。けれども、あなたの道は山から谷へと、そして谷から山へと至る。多くのことは愉快に始まり、やがて闇に導く。地獄には段階がある。

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by akikomichi | 2015-06-22 21:12 | 日記 | Comments(0)