『献血』

献血の後、半年近くは血を抜けないらしい。
それまで、元に戻らないということだろうか。

血を400mLばかり抜かれると、喉が異常に乾く。
身体を巡っていた血の気が引いたためだろうか。

血管が浮き出て、そこに流れているものを、ポンプで吸い取り、真空管のような、ガラス管に詰め込まれる。
動く標本のように、そこに赤々と濃いしぼりたての血が満たされていく。

久しぶりに血を見た。それも自分の血を。
少しの痛みをともなった自分から流れでた血。

血液型を判断するために、二種類の水溶液に血を数滴垂らしていた。
血が飛び散るようにぱっと雨だれがガラスに張り付くように水溶液の中で固まった。

それから、時間が経つとひとつのいきもののように血が線条にうねりだし。
やがて死んだようにうごかなくなる。

人の中を廻らない血は、早かれ遅かれ、死にゆくものなのだ。
血は人に寄生するように巡り流れているのだ。

こどもらには、この血が、少なからず混じっているのだ。
臍の緒を通って、母乳をすすって。

君たちの血が濁っているとしたら、母のせいでもある。
血の噴き出るような罪を犯したならば、言い逃れもできない。

悲しいことに、罪を犯したものは。
この血をもって、罪を償い給え。









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by akikomichi | 2015-06-19 23:04 | 詩小説 | Comments(0)