『蛍日記』

5月29日金曜日、晴れ。
8時半。

橋の上から、水の上を漂う一匹の蛍を見つける。

蛍は水鏡に映しだされ、水と空間に漂う二匹の蛍となる。

今日、弥生時代のものと思われる多鈕鏡の紐を通す穴付近の石型が出土したものを見てきた。

あの石に、火でとろとろと熱くなった青銅が、坩堝から流し込まれ、磨かれ鑑となり、姿形を映し出すようになるのだ。

蛍は柔らかい水鏡に映しだされ、青白い一本の糸のようにつうと、見えない穴を通っていった。


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by akikomichi | 2015-05-29 23:57 | 詩小説 | Comments(0)