竹島の歴史を説明する杉原由美子さん

竹島・武装韓国人の居座りから60年…消えゆく漁業の記憶を、絵本で語り継ぐ
2014.3.9 18:00 (1/4ページ)

竹島の歴史を説明する杉原由美子さん=平成26年2月15日、立川市内

 江戸時代から戦後にかけて島根県隠岐の島町に住む漁師たちは当時「メチ」と呼ばれたニホンアシカやアワビ、サザエを求めて竹島に向かった。昭和29年6月、韓国政府は竹島に武装した海洋警備隊を上陸させた。不法占拠から60年目を迎える今日も武装要員は居座り続け、竹島と同島周辺12カイリ(約22・2キロ)は日本の漁船が近づけないままとなっている。竹島での漁業に携わった漁師のほとんどが鬼籍に入るなかで一人の女性が遺志を受け継ぎ、地道な活動を続けている。

 女性は隠岐の島町に住む元小学校教諭、杉原由美子さん(70)。明治期から昭和にかけて、竹島での漁業の拠点になっていた久見地区に生まれ育った。

 東京・多摩地域の小学校教諭として勤務した後、6年前に故郷へ戻った。当時、島根県竹島問題研究顧問だった杉原隆さん(75)から昭和24年に亡くなった祖父・八幡長四郎さんの遺言を聞き、「何かしなくては。絵本で子供たちに竹島のことを知ってもらいたいという思いに駆られた」という。

 長四郎さんの遺言は「三家代々受け継いできた竹島の漁業が再び日本人の手に返る時が来たなら、必ず残るものの手で、竹島を乱獲から守るため漁業権を獲得してもらいたい」というものだった。

長四郎さんは戦前、久見地区にあった「竹島漁猟合資会社」の代表だったが、晩年は連合国軍総司令部(GHQ)が設定した通称・マッカーサーラインにより、竹島には日本漁船が近づけない状態となっていた。竹島で漁が再開できると信じていた長四郎さんは、周囲の漁師たちに遺言として、竹島での漁業の将来像を伝えていたのだ。

 また、久見地区の集会所で行われた竹島問題を考える集いで、住民の多くが竹島での漁業について、祖父母の世代や親、親戚から聞いた証言を覚えていたことを知り、「これを活かさなければ」と行動を起こした。

 平成23年冬、杉原さんは久見地区に住む20人以上の住民を訪ね、動物園へ高値で卸して潤った地区の思い出や漁業の様子の聞き取りを始めた。時代が過ぎ、すでに竹島で直接操業した人はいなくなっていたが、親戚や親から聞いた断片的な証言の数々をつなぎ合わせ、絵本の原作を執筆していった。

 そして地元出身のデザイナーに作画を頼み、25年2月に自費出版で絵本「メチのいた島」を完成させた。

 「メチって知っていますか?」「メチはとっても賢くて、家に帰ろうとしてもついてきたんだよ」-。

杉原さんは絵本を紙芝居の仕様に拡大し、地元の小学校で読み聞かせをした。「じいさんから『先祖がアシカ採りに行ってた』と聞き、嘘かと思っていたけど、本当だったんだ」。参加した小学生の一人はこう言って、目を輝かせていたという。

 50部ほど刷った絵本は島根県内を中心に評判となり、多くの人から「読んでみたい」という声が集まった。これに地元新聞社が応えて紙面連載され、発行も決まった。

 関東地方に記録的な寒波が襲い、東京・多摩地方は30センチを超える積雪があった今年2月15日。杉原さんは風邪で熱もあったが、立川市内のホテルから雪をかきわけながら、かつて勤務していた小学校を目指していた。夢だった東京での読み聞かせの集いが迫っていたからだ。

 「タクシーをいくら呼んでも電話すらつながらない。もう無我夢中で歩いた」。1時間も雪に埋もれた道を元同僚と急ぎ足で歩いた。何とかたどり着いた小学校には、かつて担任した子供たちの保護者らが集まり、杉原さんの優しい語りかけに耳を傾けた。

 「波の向こうで日本の竹島が、きょうも私たちを待っています」。こう最後のページを読んだ杉原さんは、思わず涙ぐんでしまった。

 「メチのいた島」を読んで、竹島と隠岐とのかかわりを伝える活動は隠岐諸島の多くの小学校で実施されてきた。だが、都市部では、特に学校現場からなかなか理解が得られない。

 自費出版から1年を経て、ようやく”母校”で読み聞かせが実現した。偶然の大雪に見舞われたて、来るはずだった子供たちは安全のため参加を見送った。だが、教室からは「大雪が降ったこの日に知った竹島のことは、一生忘れない」と、保護者らから声が挙がり、目頭を押さえる人も少なくなかった。

 絵本は今年2月22日の「竹島の日」に、竹島をめぐる歴史や現状の解説などの資料編が追加され、3000部が発行された。

 「何とか、多くの人に知ってもらいたい。学校で難しくても、図書館でできるのではないか。難しさは感じるが、糸口はあるはず」と、子供たちへの読み聞かせの機会を探っている。

 杉原さんの絵本「メチのいた島」は山陰中央新報社発行、A4変型判、64ページ、本体価格1500円(税別)。注文・問い合わせは同社出版部(電話0852・32・3420)またはホームページhttp://www.sanin-chuo.co.jp/。

産経〜〜〜〜〜〜〜〜

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by akikomichi | 2014-03-09 19:34 | 日記 | Comments(0)