復興のためのマスタープラン

【「福島」復興への提言】(上)

 ■NPO放射線安全フォーラム理事・多田順一郎

 まもなく東日本大震災から丸2年が過ぎる。しかし、原発事故で放出された放射性物質の影響を最も受けた福島県の復興がなかなか進まない。除染、風評被害対策、住民の健康…ふくしま復興のためにすべきことは-。(平沢裕子)

 --手抜き除染など除染をめぐるさまざまな問題が噴出している。福島県川俣町などで除染のアドバイザーをしているが、どう思うか

 多田 伝えられているような手抜きをしたからといって除染が台無しになるわけではない。(放射性物質汚染の可能性がある)落ち葉を川に蹴り出したことで川を汚染したかのように批判する報道があったが、雨が降れば人が蹴り込むよりもたくさんの落ち葉が川に流れ出る。あれはあくまでもモラール(士気)低下の問題。

 --モラールの低下?

 多田 そう。作業者の質の問題もあるが、今の除染は意味のない作業も多く、モラール低下は仕方のない面がある。たとえば母屋から離れていて普段は人が行かないような場所の土まで削っている。専門家でなくてもやっているうちに「やっても意味がないな」と分かる。もちろん、契約した以上きちんと作業すべきだが、自分のやっていることに意義を感じられなければ「少々雑にやってもいいかな」という気持ちが起こるのも人情だろう。

 --無駄ですね

 多田 福島県が国の除染ガイドラインに基づいて作った指針は「積み上げ方式」。決められたメニューをこなせばいくら払うというやり方で、業者は地面を削れば削るほどもうかる。業者が除染範囲を勝手に広げることはできないが、住民から「あそこの場所でも子供が遊ぶ」と言われれば手を広げる理由が生じる。これに対して行政が「サービスで削るのはいいがお金は出さないよ」と規制しきれるかどうかが問題だ。現場を知っている私から見ると、本当に意味のある除染はごく一部。

 --除染は税金でやっているのに

 多田 そもそもの問題は国の除染ガイドラインで年間1ミリシーベルトまで除染するという非現実的な目標をかかげてしまったこと。さらに状況に応じてガイドラインの運用を見直してこなかったのも問題。たとえば事故直後はスギの葉にもたくさん放射性物質がついていたので、スギの枝払いは線量低減効果が大きかった。しかし、スギの葉は2年もたてば新しい葉に変わる。それなのに今ではスギだけでなく広葉樹の枝まで切っている。こうした硬直化は、日本社会そのものの問題でもある。

 --日本人はいったん決めたことに従うのは得意だが、状況に応じて見直すのは苦手だ

 多田 それではいけないということを教えてくれたのが東京電力福島第1原発事故。そこから日本社会はもっと学ばないといけない。また、雇用が消えたままで除染ができても、若い人たちは戻ってこられない。

 --雇用がないと若い人は暮らせない

 多田 根本的な問題は国が復興のためのマスタープランを作らなかったこと。最近、ようやく復興のグランドデザインを議論し始めたが、20兆円を超える予算(当初は19兆円)の借金を決めながら、いまだに具体的な復興のマスタープランができていないことは異常だ。この資金で被災県をどのように復興させるのかという根本部分が一向に見えてこない。たとえば三陸海岸の市町村は高台に移転する所とそうでない所がまちまちになり、しかも方針が容易に決定しない事態に陥った。プランは本来なら原発事故後に首相が作るものだが、民主党政権ではだれも作らなかった。安倍晋三首相にはぜひ作ってほしいですね。

 ■多田順一郎(ただ・じゅんいちろう) 昭和26年、東京都生まれ。62歳。東京教育(現・筑波)大学理学部物理学科卒。理学博士。高輝度光学研究センターや理化学研究所横浜研究所で放射線などの安全管理に従事。平成23年の東日本大震災による原発事故後は福島県伊達市や川俣町で放射線対策のアドバイザーを務める。著書に『放射線・放射能がよくわかる本』など。

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実際、作業される、そこにおられる方々には酷なことばかりだと思われるが。
余裕が無い日本の現状を考えると、今からこれから何をするかは重大なことであり、国全体、世界全体にも通じることであり、もっとこの現状をみて、効果的にできることをしていくよりほかはない。

日本全体、世界全体、甘えるのことはできない、厳しい状況である。
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by akikomichi | 2013-03-08 09:45 | 日記 | Comments(0)