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『不/自由』

かつて戦争中 不自由となり 春を売り 晩秋には記憶を売り
丸裸にされた記憶を愛国とすりかえ デモに出かけた老婆がいた
老婆に会いに来た男は 自分の年若い娘が春を売っていることに抵抗もせず
春と晩秋を売った老婆に
”あんた 昔の男に似ているよ”
と言われ はにかんでいた
老婆を記憶の中で犯しているのが自分なのか 他者なのか
分からなくなって 憤慨しているようにも見えた
しかし 男よ
記憶に憤慨するのは自由だが
目の前の今を見ようともしない 抵抗もしないのでは
かつてと同じ不自由なだけではないだろうか
女たちは自由になりたいと言う
記憶が売られない限りは自由ではないと言う
女たちは自由にむちうたれていた
さらけだせ さらけだせ さらけだせ という自由に
さらけだすな という不自由は女を丸裸にはせず
本物のむちをうつ
不自由のむちをうつ
by akikomichi | 2012-10-01 11:20 | | Comments(0)